白昼に広がる真闇炎天の
  端を捲りて我打ちのめす



一抹の風に格子を背に着けて
  磔台の木を逆撫でる



冗舌の中に我等は住みたれど
  幾歳 (いくとせ )も経た約束忘れず



あちこちに綻び出来た焦点を
  うだる暑さに無為に眺める



冷厳の崖に一旗上げようと
  登る一行愚劣の峻拒



自惚れる日輪の影渦巻いて
  人の顔した猿が群れ成す



贄欠いてぐにゃりと萎びる指根っこ
  底抜けた穴に潜むモノ無し



(なぞ )りひび割れた碗に頬擦りす
  音を立てたり在った証に



湿気帯び募る怯懦に輪をかけて
  水音撥ねる猫の首かも



幼児化も一斉発生で徳となる
  恐怖支配の王の笞無く



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