噤む口錐突き立てて抉じ開ける
  彼等の権利誰が守れる



警笛が白く切り裂く赤い闇
  落ちた滴は血か汗か



本棚に指紋残してとぼとぼと
  階段降りる漆黒の午後



必滅の回転残し光子 (フォトン )行く
  認識論と存在論遭う



陰々と響くhollowに聴覚を
  狂わされ先ず肩で堪へる



涙もてインク代わりにするペンを
  採りて訴え掛くる者無し



苦しくて吐いた鼻孔が爛れたり
  空気に課税されたる世界



麗かな恐懼を()して身構える
  震えるこの手が破いた手紙



萎れた躑躅 (ツツジ )に唇を
  寄せて黙った少女ゐて
    排水孔に汚水輝く



風向きの変わる荒れ地のススキ群
  奏でてゐたる無人の葬歌



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