中毒と化した官能引き摺って
  失はれている世界を想ふ



溜息を絶叫するよに唸り出す
  エンジン停めて夕立ちに立つ



濁色の空に黄色い稲光り
  無垢の蒼穹の記憶遙かに



自足者に奇異な断章差し挿む
  亀裂の向こうに何も見えない



下腹に寂光光る骨の亀
  解けぬ鎖は北極星まで



ハッとして痺れる様な指先が
  石化した我が虚傲を嗤う



本流を知らぬ儘なる被害者に
  掛ける声なく後ろを付いてく



同じ手で人を殺した美しい(ひと )
  月夜のプールは何んでも流す



新冊を我のこの手に馴染ませる
  経路開いて織り物を成す



押入れに納むる悔悟恥と業
  時々そっと開けて眺める



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