殺戮の匂いを運ぶ砂風に 銀の狐の毛を梳いて抜く |
ガタガタと揺れる窓枠一瞥し 死出を無視してトランプを続ける |
じくじくと肺に滲みたる甘き酸 茸の様に我を蕩かせ |
つっと盛り溢れ零れる直前の 表面を撫で惨めに俯く |
嫉妬せる固着に呆れ果てたれど |
待ち侘びて遭へぬ苦しさ反転し されど出口が見付からぬ夢 崖の下には目覚めはあるか |
骨格を剥がさるる虫のたうちて 路上に転がる汚物のごとく |
横たわる賞味期限の切れた本 残骸なものか 残骸なものか ひたすらに待つ甦る時期を |
締め付ける快楽の中窒息し 扉の向こうに輝死他を見たり |
がっちりと頬を挟める鈎爪に 微笑みかける彼の粘液 |