美しき屍体を晒す象水母 (ゾウクラゲ )
  新しき日が乾いて腐る



シロップの甘い手触り飲み込まず
  惚けて我を苺と化せり



大落下見下ろして月輝けり
  飛沫に眼鏡曇りて見えず



ぎりぎりと胸締め付ける青空に
  白の喪失封じんとする



列を成し飛び去る光見送って
  二重の本を手に嘔吐したい



噴煙に隠るる涙押し殺し
  大地打ち付く血で裂けるまで



濡れた橋渡って夜の海を嗅ぐ
  神秘存ずは視覚のみ也



Museumの窓突き抜けて吹く風は
  生臭くてじわりと暑く



研究室に悪しき性向居残りて
  ソファに手を着く息が()けない



ささやかな災厄彼を待ち受けて
  ひとつの世界の柱が崩れる



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