過去の日と云う幻影に囚はれた
  一瞬を恥じ顔を洗へる



じわじわと募る得体の知れない不安
  膚這い回る無数の羽蟻



日向に晒さる骸に蛆が
  たかりて眼窩白く埋めたり
    引き攣る首に同じな震え



舌打ちをして蝋燭に火を点す
  暗闇の中明かりが灯る



動かずに待つ落日の山遠く
  燃える川面に月影はなく



停滞す大気の中に立ちんぼう
  ロゴス蕩かす真昼の倦怠



刈り取らる草に石碑は冷たくて
  何か刻んだ顔光らせる



楽の音を嫌へどリズム生まれ来る
  オスティナートで歩ける今日も



六角の城に惑ひて(うず )もれる
  生きんとすれば美ははかなしや



盲目の轟進せる合目的性
  関わり合いたくない所産共



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