膨張臨界超え出たる
  白色矮星()に載せて
    爆発を待つ凝っと震える



毀れ落つ石の足元ひれ伏して
  かの年月 (としつき )に赦し請うたり



無数の熱を鏤めた
  冷たい夜空に耳澄ませ
    落ちる星々を手を広げ待つ



捕はるる天蓋低く垂れ込めて
  圧殺せんとす小さき生に



握り潰した虫ケラが
  触角ぐるりと動かして
    瞳の無い目で白痴と化せる



赤い地に長い蔭伸び我覆う
  私は影ではないぞと叫ぶ



ハッとして仰ぐ四角いシルエット
  似てはいるが同じものだ
    憶えているぞあの戦慄を



近付くのさえも恐ろしかったあの本
  今は私がそれを書いてる



捻じ切れた腕をブランと提げた儘
  巨人は歩くとぼとぼと山へ



鮮やかに反射重ねる氷棚
  穿った穴は何処 (いづこ )へ続く



inserted by FC2 system