しんしんと降り積もる
毬
(
イガ
)
我を刺す
あの年の冬は確かに寒かった
大空の壁が老朽して剥げる
次から次へ隠れる腐敗
斟酌し
我
(
われ
)
がギロチン譲る時
必ず
翳
(
かす
)
める安堵と後悔
テカテカと光る石碑のいやらしく
油浮かせた様にギラつく
彼
(
か
)
の人の生まれる絆は嫉妬より
先行者無き奇妙なα
我が着物弄ばんとはしゃいだる
大きな目をした長い髪の
娘
(
こ
)
我が
描
(
か
)
きし黒い瞳を不気味だと
けなした老婆よ地獄へ墜ちろ
別れ時さも麗しい友情を
演出せんと駆け回る我
君が居てだけどちっとも知らぬ儘
三年間を過ごした図書室
乾いた秋の昼独り
本棚の陰でこっそりと
ハイネ読みたる小さな偽善者