認知的協和に満ちた人々の
  頭くしゃっと丸めて捨てる



十の礫を手に取って
  秘儀を隠して孕みつつ行く
    粉雪の降る坂は嶮しく



夕餐に食べた死体が胃に凭れ
  ベッドの中で寝返りを打つ



微風に皮膚を開いて立てる
  我の頭上に積乱雲
    明るい闇が静かに落ちる



閃光に貫かせたるその躰
  可遡度の高い記憶を憎む



暴かるる墓にぽとりと転がった
  虫の死骸が分壊され行く



白昼に暮れる真夏の海岸に
  降る雪が陽を溶かして死ねる



黙したる系列繋ぎ遡及する
  それが理性の一歩と信じて



空腹に独り取り残されたる世界
  肩を(いだ )ける手も竦む儘



一介の幻視家と謂えど腹は減る
  灼け付く躰駆り立てて歩く



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