薄暗く熱い舗装の一面の 毛穴から青白い芽が噴く |
錆びたカッターで力いっぱい 斬り付けた様な暑さの中で 犬が一匹舌を垂らして 焦点合わぬ目を彷徨わせ ひっくり返った天地の間 賢しげに啼きばたりと殪れる |
遠くまで消ゆる斜光の端掴み 独り歩ける虹の彼方へ |
溶けたバターをかけたレモンの 匂いこの手に掴まえて舐める 崩れた躯*はぎんぎら色の 刺身にして喰うペロリとひと口 |
蛭取って丘の頂捧げ持つ 薄い肉汁撒く交差点 |
戒律が甘く夢見る近代化 冷えたアイスは美味しいなあ |
差し止めてハッと気付いて振返る より大いなる隠れた知恵を 見逃したるや嫌悪と竦める |
死んだ蛇の様に疲れた腕を上げ 投降を勧める倉に向かって |
空覆うシケた颱風べたべたと 未練がましく破壊し残し |
一面のショボいツツジと飲み残しの コカ・コーラに見る今日も |