大風の中に叫ばる影ひとつ
  応えが曰く凡な説明
    呼び戻したり常愚界



恐怖もて愛を価値あるものとする
  彼等の咎は責められるべきか



カネ積んで脳細胞を壊す彼奴 (きゃつ )
  人参馬の如くに進む



篝火に揺らぐ水辺に響吟す
  闇が齎す静かな時間



ガラス戸に薄く重なる昼闇有
  何かが出そうで出ない数瞬



大声で叫べど届かぬその言葉
  口を奪はる理性の訴え



煮凝れる肉を喰めども呑み下せず
  ひとつの歴史が贅沢品に



牙を剥き風に唸りを上げ乍ら
  身ぬちを走る嫌悪に耐える



黒い影昇る煙に見入りつつ
  火成岩質の路上にひとり
    荒れた地平に一歩踏み出す



大風に紛れて声を大にして
  呼んでみる也虚空へ向けて



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