素敵な晩には山羊でも殺して
  獲物を探して街へ出よう
    淋漓と滴る牙は隠して
      血の臭いには笑顔の誤魔化し
        さぁて今夜は楽しい宴!



静寂 (しじま )より菌糸を伸ばす恐怖有
  忘却を赦してくれぬ汚穢有
    我は唯々立ち尽くせり



薄闇のクリーム色の官能に
  脳が沈んで溶けて広がる



愚中でも摩訶不思議なる私有制
  無駄飯食らいは底無し胃袋



見よ意図の不明な作り手そこに居て
  白痴の如くに鉈を揮えり



直線に並んだライト何処までも
  駆け出したくなる高架下に独り



歩き出す今日も当て処を()めぬ儘
  紫の寒気が駆り立てる儘



街灯の下に壊れた影が有る
  代わって欲しいと手招きをする



あの月は何時か見た月あの時も
  私の屍体を見下ろしてゐた



独り夜白昼の死を思い出す
  思い出すのは私か彼奴 (あいつ )



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