愛に溢れたファシストに
  こっそり陰で悪態を吐く
    我もひとりのファシストなれば



全て皆死に絶えた後で訪れる
  赤く霞める大いなる解放



歓喜なく爆発もなく腕広げ
  気懈い法悦我を包めり



最初から失はれている世界(いち )
  分厚く隔たる多層現実
    バラバラなのを束ねて立てり



滑らかな眉撫でつけて身を沈め
  赤き稲妻遠くに見ゆる



目の空いた機会仕掛けの鳥が啼く
  細い捕食者迫りて切らる



扉が開き光条が
  四海貫く巌の陰から
    我悍ましき肉片を持ち
      (ボウ )と佇む暴かるる穴に
        悔悟も恐怖も意味を失う



喉元を押さえられたる汗をかく
  猿が藻掻いて*ミサイルを()



荒野にひとり水もなく
  潅木切って血に塗れ
    塩辛い嗤いを嗤へる聖夜



くっきりと陽に(わだかま )る大通り
  我が憂鬱を雲間が嗤う






*「足宛く」は川流のパソコンでは上手く変換出来ませんでした。スミマセン………。



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