愚かな問いもて輝ける
  昏い小さな発光を
    愛しと思う
    唾棄すべきと思う



春雨が暗い大地を切り裂いて
  露にしたり瓦礫の廃虚



あの星雲と私とは
  同じひとつのものにして
    (しか )れども尚光年に隔たる



白い墨落とした様な空に穴
  更なる光輝あの上に有



雨の前大気を満たす饐えた水
  昏い悦びに震える樹木



川の向こうの南の空
  私を呼ばはる横顔有
    私など知らぬ私有



薄明にズレた肉体抱きつつ
  至高の恐慌跳ねて踊れり



唯一人取り残されたる寝床にて
  昨日の人類が思い出せない



忘れられたる忘却を
  声大にして叫べども
    耳を貸す者無い大通り



竜胆 (りんどお )の青い蕾に唇を
  寄せて囁く天の川の子よ



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