苦き実の汁滴らす赤い花
  対峙して尚戦き泣ける
    悍ましくて
    悍ましくて!



白鳥座角度定めて口開ける
  滴り落つる星辰の露



はしなくもこの身宇宙に連なるる
  胸から開いて裏返しにする



言の葉の網の目から漏れ零る
  昏い滴を啜ってみたい



蟠る憂い映せる幻燈の
  傍でうるさい流行の音



目が開く呼吸が始まる脈が打つ
  固き鼓動が芽を噴いてゆく



産ぶ声を上げる間もなくどろどろに
  溶けた嬰児を忘れた昨日



切れ目なく広がる煤をスプーンで
  ざっくりとやる理性の敗北



群集の中聴き取れぬアナウンス
  何か大事なことかも知れぬに



膿んで輝くごとくに昇る
  卵を見たり
    耳を突ん裂く



inserted by FC2 system