馬を捨て腹満たしたのは間違いだった
  腐る死体と膿み爛る脚



屠殺場に豚が牛が鶏が
  百千単位で次から次へ
    実に効率的な工場!



気味の良い音立てて舟沈み行く
  ザマを見ろ魚のエサは我ひとりのみ



何百と云う卵をば一口に
  ぱくりとやってペッと吐き出す



ぬかるみに足を滑らす泥の中
  蹂躙されたる羽根が一枚



赤光に貫かるる森独り行く
  色を失い形を失い



濃霧にてあの生首に気付かざる
  蹴転がしたる赤い裂傷



鎖骨の上黒い鏃を突き立てて
  カラカラと笑う無邪気な美少女



人乗せて走り去るなり軽自動車
  悪夢の先の果てしなき路



遺留碑に黒耀石で刻み付ける
  思い出す者無しと云う事実



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