錆びた小舟の残骸で
  鍬を作れり丈夫な鍬を
    この一振りに命運込めて
      振り下ろす也大地に鍬を



崩れ落ち音を立てたる氷あり
  誰も聞かねどその身を削って



甘く饐えたる生命 (いのち )嗅ぎ
  カッコで括る取り敢えずなれど
    領域決定の難しさ
      なれど苦痛は厳然として在り



一般化された個物に埋もれた
  生にも苦悩あり
    なればこそ苦悩せり



君が居て二十億年待たるるは
  約せし愛を実現する為



風に酔う
  ちっぽけな気圧の変化日が差して
    ほんの一瞬下界を照らす



目の前の名も無き黒き塊よ
  君は私か!
  私は君か!



嬰児抱くごとくに肩を抱きしめて
  解らぬ儘に涙流せり



根瘤に鉈を振るいて確かめる
  ここにオリオン座はあるか



轟ける波を昼間に独り見る
  因果果て無く絶ゆることなし



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