口の端を滴り落つる白き蜜
  死の官能に凝固した(とき )



岩盆にゆるやかに満つ塩の水
  更にゆるやかな酸蝕作用



水汲みて波紋に映る顔を見る
  どの顔もまた我が顔なのか



旗の列ひらめはためき揺れ動き
  それでも役目を果たしている



順風に帆を張って
  航海に出よう
大きな海へ小さな船で
  航海に出よう
      時間は少ない世界は広い
    まだまだまだまだ
      行っていない場所へ
    まだまだまだまだ
      見ていない光景へ



悲しむな 君
寂しがるな 君
  無情な太陽が君を見ている
  隔絶した宇宙が君を見ている
嘆くな 君
恐れるな 君



人を見る必要があって人を見る
  つまらぬな
  つまらぬな



まだ先の寂滅の時代考えず
  繁栄を謳う騒がしい街
    そちこちに廃都の予感転がっていても



輝ける腐臭の混じる潮風に
  一瞬を見る地球の歴史を



永劫の断片を食う水晶を
  育む暗黒星雲の人



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