水槽の底に沈んだしゃぼん玉 金魚つつけど何も映さず |
陽光を必要とする岩浜を 光景に今屍体がひとつ |
焼け爛る握り拳をきつく締め 電信を打つ「助けてください」 |
牙を剥き悲鳴殺しつ第六番 何度もかける何度もかける |
個が個を呼ぶいや違う全が全を呼ぶ それでもやっぱり個が個を呼ぶ |
打つ波の途切れることなき連続性 南から来る風は何を運ぶ |
動きの上に動きがあって 動きを孕んで動きが動く この一瞬にこそ念を込めて 見極めんと欲す更なる地平 |
風に寄せて思い繋がる過去と今 あれは確かに私だった |
寿ぐる冷たき真雪 新しき日が我を祝うよ |
四次元の広がりを持つ座標景 柳を流す新風の流れ |