黄昏のまだらに染まる階段を
  項垂れて下りる巨人



ビルの窓西日輝き白く染める
  ほんの数分の光の城



夜になり人為の星を見下ろせる
  諦めにも似た紫の空



思う儘生を悼みて街灯の
  下に佇むぽつんとひとり



真真っ白の静寂 (しじま )を破る大雷鳴
  予て予定の絶滅劇始まる



ライト受け浮かぶ木立の不眠姿
  騒がしい闇無言で被る



煙吹き唸りを上げる光る岩
  深い闇中の赤と黄色と



溜め息を吐ける都会の痛勤電車
  人を吐き出し人を吸い込む



セセセセセ囁き合える枯れススキ
  荒れた河原に水鳥もなし



朝が来て動き始める街の路
  渋るゼンマイ巻くが如くに



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