降り積もる雪肩に抱く弔問客 サッサと終われ寒いンダコノヤロウ |
犬のごとリード着けたる三才児 飼い馴らすには何年かかる |
暇を見て縊り殺したる鶏の 腿を呑み込むよく嚼みもせず |
ひび割れて中覗きたる大仏の 殻を叩くがらんと音がす |
外界に溺れゆく我が感応を 抱き締めるとも零れて留めず |
有形無形の狭間にて 漂う雲の群れを見る 輪郭欲しがる性急な心 |
コンクリの密室の壁に手を当てて 誘い込まんや我を喰う闇 |
春雷を近くに聞きてずぶ濡れる 真っ赤に割けた落ちた柘榴 |
舌先で口内炎を弄ぶ 疼く痛みに噴射を覚える |
皮膚薄く裂いて舐め取る赤い血を 鉄の味するぐぐっと絞る |