澱を成す重層的な感情を
  交通整理し小出しに彫琢



肥え太る蝦蟇を狙いて邪視送る
  池の濁れる春雨の夜



荒れ果てた岩肌覗く雪山を
  滑り降る我スピード出して



街中の狭き小寺の鐘の音
  騒音条例適用さる



錆び付ける一輛のみの地方線
  波が引いたら墓地のみ残る



体重を叩き付くよな歩き方
  背筋曲がって低きを見たり
    人とも猿とも違う生き物



裏切りの碧い海原吹き抜ける
  二万年前と同じ北風



血に染まる難破したてのUボート
  紙一重なる誇りと傲慢



安物のラジカセとヘッドフォン
  効果を上げぬ大交響曲
    電源切ってベッドに微睡む



ぞめき立つ無数の襞のその奥の
  真珠探して手伸ばす危うさ



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