木漏れ日を寄せて帰して包む葉々
  裸身晒してそそっと触れる



黄身茹でてひびにスプーン突き立てる
  ひよこの目玉がこちらを見上げる



陸橋の隙間に詰まる生首を
  紫首の鳩が啄む



幻日に淡く並べる樹氷柱
  穴より出でて青い戦慄



泥に塗れた黒い木偶
  白装束を着替えさせ
    投げて捨てたりゴミ箱の中



残雪に凍れる階段見下げ果て
  滑らぬように足を踏ん張る



停止せる頭カラカラ振ってみる
  真綿詰めたる逆流詰息



脳漿がゼリーと化した春の昼
  でかいハンマで叩き割りたし



暁の月が黙って空に隠る
  マントを振ってニヤリと嗤う



血を流す桜に酔へる春の夜
  般若の面をどかして見たい



inserted by FC2 system