物哀し旋律乗せて歌歌う
  銀がまぶしいフルートの女性 (ひと )



肖像に似ていない鼻メスを入れ
  整形手術で修正入れる



疲れ果て怒りの拳も挙げられぬ
  消耗し切った小さき男
    目に映るのは空っぽの財布



蒼白の胸掻き毟り寝悶える
  わだかまる夢消滅するまで



薄陽 (うすび )受け東に流るる千切れ雲
  天高く舞う烏が一羽



電飾の舌に怯えて秘め隠る
  逃げ帰りたくも道が分からず



黄昏に点る街灯憎み泣く
  北の空から雲手を伸ばす



安っぽく割れて響けるファンファーレ
  何万居ても場末の気分



滲み出し夜空に根を張る朧ろ月
  白く濁れる疾患のごと



ビルの陰より覗く目玉ひとつ
  溢れ出して零れるだろうか



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