然にあらんしがみつきたる天道虫
  風に揺らして尚しがみつく



雲過り急に曇れる高き日の
  数秒間に何を思うや



霧臭う瞬き点るアーク灯
  浮かび出づる闇の中の顔



晴れた日は裸で表うろついて
  犬の哲学者になりたい気分



凍み溶けるつららしっかり握り締め
  水晶になれとぶつぶつ呟く



種子を呑む腹突き破り幹伸びる
  融和促す愛しき戦慄



いじましき豆のひと粒()に載せて
  ころころ転がす凝っと見詰める



今日もまた強制されたる無為の中
  頭捻って歌を詠む也



絹裂いて裂け目の形確かめる
  蹂躙せるは(けだもの )の爪



早苗萌ゆさざ波立つる田んぼ見る
  厚く隔てる透明な壁



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