語らはん無窮の孤独抱き締めて
  復活せんと血に酔へる夜



さには成す逃亡劇の落とし物
  あっちこっちで種が芽を出す



音立てて崩れ落ち行く流氷の
  筋に爪立てしがみつく我



卵割る真っ赤に焼けたフライパン
  ヒヨコが落ちる血塗れの油
    殻着いた儘目も開かぬ儘



魚銜え引き裂き合えるペンギンの
  落ちて行く也十羽二十羽



君のいる瞳の中に囁く声
  対峙するなり殺意抱きしめ



微風吸い胸いっぱいの排気ガス
  針でつつけばぱぁんと割れる



人の来ぬ凝っと黙した松林
  どもりつ歌う否定しつつも



感能を狂わす胞子播き散らす
  憎き林に火付けに廻る



春の日の鮮やかな積乱雲
  無害装い陰に流るる



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