地滑りを起こす崖肌現はるる
  髑髏の城が黒汁を吐く



羽持たぬ儘に踏み込む大湿原
  遠く呼び込むあの地平線



斧で割るとろけ流れる脳漿を
  握り潰して頭蓋に注ぐ



雲果つる遠き彼方の深空より
  睨み付くるは純金 (じゅんごん )(まなこ



水底 (みずそこ )に揺れる時空の断層より
  蝶舞い上がるねじれ残しつ



渦を巻き流るる雨に靴浸す
  沈澱してゆく冷たき疲労



朱に染む両手を凝っと見詰めつつ
  過ぎ来し方は我もわれもと
    貪り合うを思い出す
      嗚呼悲しやな繰り返す
      嗚呼厭ましやはかなき業



溜息と死装束を前にして
  疎ましき澱欠伸堪える



さわさわと滑り行く白魚の指
  握り固めて溶岩を噴く



浅ましき知恵の出尽くすその隙に
  更なる下賤に食を奪わる



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