漆黒の翼に怯え蹲る 　　身を切る風に膚 (はだ )を晒しつ

赤芋に似たる嬰児の指根っこ 　　ぽきりと折ってむしゃむしゃ食べる

監獄の隅這い廻る虫けらを 　　具舎利 (ぐしゃり )と潰す蠢く触角

幻惑と歓喜にこの身搾り取り 　　コップ差し出すミックスジュース

身に纏う背筋凍らす金玉衣 　　我が死の居場所誰のものなり

暴かれし木乃伊の悲惨死に絶えし 　　墳墓の主最早口無し

蝿たかる猫の死骸を片付けて 　　手を洗うなり憎むごとくに

灰色の書き割り立ててビルの群れ 　　稲妻光る電飾のごと 　　　哄笑の類い何ぞ虚しき

気が狂うことを恐れて気が狂う 　　必死で探すしがみつく縁 (へり

泥の中ぐっぽり沈み潜み待つ 　　底無し沼と知りつつ潜る