鉄塔の上に立ちたる大蝙蝠
  紅地に黒の空の裂け目よ



下り行くエスカレーター地底まで
  捕獲装置は窖の中



眠れずに遠き白夜の地平線
  凝っと吸い込む目眩のごとく



振り仰ぐ雲突くばかりの白キノコ
  輪切りにして喰らいつきたし



階段を転げ落ちたる火だるまの猿
  マッチ摺らねばならなかったのか



忌わしき糧食い繋ぎ
  忘れた明日 (あした> )を消化する
   望みたまうや白い死を
   忘れたまうや白い死を



見よ遠吠えの山脈を
  身を震わせる峰々を
    静かなる雪景色
      谺する贄の絶叫



歯に指をかけてめりめり顎を裂き
  手が口に勝ちたる瞬間
    嬉しき哉!
    嬉しき哉!



老いた 身体 (からだ )に鞭打って
  這って進むは下り道
    いずれは骨まで沼に沈まん



篝火の影にうつろう仮面劇
  雪降りしきる神の来る道



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