迫り来る蟻の雪崩の悍ましき
  屍肉を喰らう彼は何者



口蓋の舌で蓋して絶息し
  夢見ゆる儘月径の人



裏切りはよくあれど
失望は常なれど
  我が忠誠は不退転



揺れ光る極冠国 (ヒュペルボレア )のオーロラの
  隙間の彼方の覗き込む目



おこぼれに忌わしき鳩群れ集い
  (ふん )に残さるエメラルドの目



疎ましきへばりつく皮引っぺがし
  星となるらむ我の血管



愚かなる者こそ栄ゆる虚構の都
  下劣厭はば貧も止む無し



深雪 (ふかゆき )に鐘ぞ鳴りけるひたすらに
  古きほだしを断ち切るごとく



ペダル漕ぐ足疲れ果て
  たれか呼ばはる夕暮れに
    死角襲へりコマ落としのごと
  たれぞ呼ばはる薄闇の
    隠し閉ざさる 入陽陰 (いりひかげ )の死



隠れ見るなり隙間から
  監視カメラのその隙の
    見よ血だるまの生贄を
      捧げ祀らん深夜のビルに



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