然れど我口を開けつつ待つよりは
  羽を千切りて掻き毟りたし



真四角の白い積石掘り起こし
  おらび轟く太古の原野



濃緑の膿と見紛う深沼の
  猛り狂うは胎児の号泣



切り取らる薄い青空只中に
  字も読めぬ距離飛行船行く



虫けらの汁に塗れた石垣の
  上に座って昼飯を食う



幾許の銭にならんと身を売って
  今日も今日とて下らぬ輪廻



陽光に狂気 (マニヤ )不可視に消え行けど
  溶けるのではなく沈んでゆくだけ



谷間吹く嵐の予感馬止めて
  赤き岩肌野鳥の卵



喪服にて小さき砂州の中程に
  待ち受けたるなり白鳥 (はくちょう )の羽



幻滅と妥協の集う一夫一婦制 (モノガミー )
  散文的なる青の夏空



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